三池港
アクセス
三池港築港以前
有明海は遠浅で干満の潮位差が最大5.5mと大きく、干潮時には沖あい数kmにわたり干潟が出現する所もあります。このため大型船の来航が難しく、三池炭の搬出は大牟田川河口から小型運搬船と艀(はしけ)により、対岸の長崎県島原半島南端の口之津港(南島原市)まで約70kmを海上運送し(まる1日間要する)、ここで積み替え人夫(最盛期には1,500名を超えたという)の手で大型船に積み込んでいました。
こうした課題を解決するため、大型船に直積みできる港を大牟田に構築することになりました。大牟田に港を築港する計画は古くは官営三池炭鉱時代からありましたが、築港と炭鉱鉄道敷設との構想は、コスト面で実現が難しく、官営期では大牟田川河口の横須浜が基点とされていました。
三池港築港へ
明治31(1898)年5月、欧米視察の途に就いた團琢磨(三井鉱山合名会社専務理事)らは、ニューキャッスルやリバプールなど各地で港湾施設や積込方式を視察し、翌年帰国後、築港適地の選定調査にとりかかりました。
同年10月、当時の三井家事業グループの本社に当る三井商店理事会に築港計画案が出され基本方針が決定され、明治35(1902)年5月着工が承認されました。 同年11月3日、潮止めのための堤防構築工事から開始、明治37(1904)年5月に防波堤工事完成、明治38(1905)年に閘門工事開始、明治41(1908)年3月末に渠内に入水して竣工しました。4月1日、新港は「三池港」と命名され、6日には勅令第76号により開港場に指定されました。
石炭積出港三池港完成
築港工事には、延べ2,620,000人の人が作業しました。完成した三池港は、船渠(ドッグ)の広さ13万平方メートル、内港の広さ約50万平方メートル、航路の長さ1,830m、幅137mを測ります。
三池港の大きな特徴の1つに閘門があります。閘門は、船渠内の水位を干潮時でも8.5m以上に保つため内港との間に設けられた水門です。横幅20.12m、縦幅37.51mで、周辺は花崗岩を積み上げ、底にも同質の石張りを行っています。
これにより、船渠内では1万トン級の船舶の荷役が可能となりました。 この閘門には、船渠側に観音開きとなる2枚の鋼鉄製の門扉をついています(明治41(1908)年2月23日据付)。
閘門の扉は1枚の長さ12.17m、高さ8.84m、厚さ1.20m、重さ91.30トンを計り、英国テームズ・シビル・エンジニアリング社製で、扉の接するところは水漏れ防止のために南米から取り寄せたグリーンハートと呼ばれる船虫や水に強く堅くて沈む木材を使用していました(現在はゴムとステンレスに変更)。
門扉の開閉も当初のまま水流ポンプによって操作されています(駆動ベルトはコットンベルトからゴムベルトへ変更)。昭和27(1952)年と昭和58(1983)年に門扉の修理を行なっていますが、構造は当初の姿をよくとどめています。
また、閘門の両側には、大潮時の潮流緩和と、船舶の閘門通過を容易にする目的の補助水堰(スルースゲート)が今なお当時のまま利用されています。 船渠内の係船岸壁は延べ421mで、1万トン級船舶3隻が同時に係留できます。岸壁には、スキップ式(移動式)石炭船積機を2基(のちに3基となる)を設置し、積込能力は1時間に250トンで、一昼夜5,000トンまで可能となりました。
この三池港完成前には、三池炭鉱専用鉄道も明治38(1905)年三池港まで延長され、坑口(生産現場)から港(搬出所)まで連続した石炭運搬が可能となり、さらに関連して、倉庫や貯炭場が整備され、明治41(1908)年、長崎税関三池税関支署や三井港倶楽部などといった各種施設が建設され、港が整備されていきました。
旧長崎税関三池税関支署
明治41(1908)年4月1日に三池港が開港し、4月6日に開港場に指定されました。
このときに、同時に開庁したのが、長崎税関三池税関支署です。建物は、木造平屋建、入母屋造に切妻造附き、桟瓦葺一部銅板葺で、3方の出入り口をもつ土間で関税の手続きが行われました。当時は本館および附属建物からなっていました。
三池炭鉱専用積み出し港である三池港に設置された当税関は、企業側で設計・建築され、明治期の洋風建築としての風貌を残し、三池港の歴史・港湾機能を考える上でも重要な施設です。
三池港開港と同時に使われ、開港場として築かれた三池港の港湾機能(海外貿易)を示すものであり、三池港繁栄の歴史の象徴であり、往時の三池港の景観の一部として不可欠な建物です。現在も当時と同じ場所に残されており、当時の景観を現代に伝えてます。
現在、旧長崎税関三池税関支署の南側には、現在も専用鉄道敷きの木製の枕木と鉄のレールが埋没しています。これは当時周辺に立ち並んでいた倉庫群に引き込まれていた線路敷きの遺構です。専用鉄道敷きが各坑口をつなぎながら三池港まで至り、物流網を形成したことがよくわかります。当時、税関支署の周りには三池港務所の倉庫群や、貯炭場が広がっていました。
先人の百年先を考えた事業
團琢磨は三池港築港に際し以下のように述べています。
「石炭山の永久などという事はありはせぬ。無くなると今この人たちが市となっているのがまた野になってしまう。これはどうも何か(住民の)救済の法を考えて置かぬと実に始末につかぬことになるというところから、自分は一層この築港について集中した。築港をやれば、築港のためにそこにまた産業を起こすことができる。石炭が無くなっても他処の石炭を持ってきて事業をしてもよろしい。(港があれば)その土地が一の都会になるから、都市として“メンテーン”(維持)するについて築港をしておけば、何年もつかしれぬけれども、いくらか百年の基礎になる」
今も現役で稼動する三池港は、百年の礎を考えた事業だったのです。
13歳で、岩倉使節団に留学生として同行・渡米。三池炭鉱の三井への払い下げと共に、三池炭礦社の事務長に就任した團琢磨は、三池港の築港、世界の最新技術の導入により、三池炭鉱の発展、わが国の近代工業化に多大な功績を残しました。
晩年は、日本工業倶楽部初代理事長、日本経済連盟会(経団連の前身)初代会長に就任しました。
(1858〜1932)
大牟田駅から三池港への交通手段
自家用車
約2.8km 約7分 三池港駐車場に駐車 |
路線バス(1) 大牟田駅東口;『大牟田駅前』バス停から出発
2番系統【荒尾駅前行】1時間に1便程度 約10分 |
徒歩 約5分 三池港駐車場 (展望所)に到着 |
路線バス(2) 大牟田駅西口;『駅西口』バス停から出発
【三池港行】3時間に1便程度 約8分 |
徒歩 約5分 三池港あいあい広場に到着 |
レンタサイクル 大牟田駅前「大牟田観光プラザ」でレンタル
約2.8km 約12分 三池港駐車場(展望所)に到着 ◎電動自転車もあります。詳しくは大牟田観光協会まで (0944-52-2212) |
タクシー 大牟田駅(駅西口)で乗車小型・中型で料金1,200円前後(あくまで目安です)
約2.8km 約10分 三池港駐車場(展望所)に到着 |
大牟田タクシー株式会社 | 0944-53-3133 | 大牟田冨士タクシー株式会社 | 0944-56-3344 |
白石タクシー株式会社 | 0944-53-2248 | 不知火タクシー有限会社 | 0944-55-2185 |
有限会社安全タクシー | 0944-52-1177 | 有限会社みつわタクシー | 0944-56-3113 |
有明交通株式会社 | 0944-75-7755 |
施設情報
所在地 | 大牟田市新港町 |
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TEL | 0944-41-2515(大牟田市世界遺産・文化財室) |
FAX | 0944-41-2552(大牟田市世界遺産・文化財室) |
入館料・公開時間等 | ふ頭閘門等稼働施設は非公開 三池港展望所の公開日はトップページのカレンダーでご確認ください。公開時間は午前9時30分から午後5時まで(最終入場午後4時30分)。無料。 旧長崎税関三池税関支署は、土・日・祝(年末年始を除く)の午前9時30分から午後5時(最終入場午後4時30分)まで定期公開を行っています。見学は無料です。 |
アクセス | 大牟田駅前(東口)から荒尾駅前行き「三川町1丁目」下車徒歩8分 三池港終点下車すぐ |
駐車場 | 展望所に駐車場あり |