概要
大牟田市は、三池炭鉱の発展と共に激動の歴史を積み重ねてきたまちです。
この歴史の積み重ねを今に伝えてるのが、市内に残されている近代化産業遺産です。
これら市内に残されている近代化産業遺産を保存し継承することにより、建物の歴史や文化的特徴だけではなく、その歴史にまつわる人々の想いや、様々な出来事を後世に語り継いでいくことになります。
平成27年7月8日、三池炭鉱関連資産は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界文化遺産に登録されました。
三池炭鉱関連施設の世界遺産としての価値
平成27(2015)年7月8日、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録されました。現在、大牟田市の「宮原坑」、「三池炭鉱専用鉄道敷跡」、「三池港」もその構成資産となっています。
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23の構成資産)は、我が国が幕末から明治時代にかけて西洋以外で初めて、かつ極めて短期間のうちに近代工業化を果たし、飛躍的な発展を遂げたことを示す施設群です。燃料である「石炭」、それをもとに発展した「製鉄」「造船」に焦点をあてています。
その中で、三池炭鉱関連施設は、積極的な洋式採炭技術の導入により増産体制を確立し、製鉄、造船など日本の近代工業化をエネルギーの面で支えてきました。
大牟田・荒尾の世界遺産となっている近代化産業遺産の特徴は、宮原坑や万田坑の坑口から炭鉱専用鉄道によって輸送し、三池港からの積み出しに至るという一連の流れを把握することができることであり、炭鉱産業景観が良好な状態で残っていると高い評価を受けています。
大牟田における石炭発見の歴史は古く、文明元(1469)年、地元の農夫が焚き火の中で燃える石を見つけたという記録が残っています。
明治6(1873)年、官営化された三池炭鉱は、長崎の高島炭鉱に続き、西洋の技術を導入し、近代化が進められました。
明治22(1889)年、三井に払い下げられ、勝立坑、宮原坑、万田坑などが次々と開坑されました。
併せて、石炭運搬効率化のため、各坑口と港を結ぶ、三池炭鉱専用鉄道が敷設されました。今も各坑口と三池港を結んだ鉄道の路床を見ることができます。
三池港は、明治41(1908)年に三井によって築港され、干満の差の大きい有明海で港の水位を保つための閘門施設が現在も稼働しています。